平成14年6月1日から施行された道路交通法の主な改正点は次のとおりです。
- 運転免許証の更新等
運転免許証の有効期間が従来の3年(優良運転者は5年)から、高齢者、初心者や一定以上の違反者を除き原則として5年に延長されました。
免許証の更新期間が誕生日の前後の1カ月間(計2カ月間)に延長されました。
優良運転者は住所地以外の都道府県公安委員会を経由して更新申請ができます。但し、住所地以外で申請する場合は期限の切れる誕生日前までに手続きをしなくてはいけません。
更新時の講習が、@優良運転者(30分)、A一般運転者(60分)、B違反運転者等(120分)に細分化され、講習の充実化が図られます。
更新時に高齢者講習を受講しなければならない年齢は、70歳以上とされます。講習は更新期間が満了する日前3カ月以内に受けていなければなりません。またチャレンジ講習を希望する者にはこれを実施し、チャレンジ講習の成績が基準以上の者は簡素化講習で講習受講済みとすることができることとします。
- 運転免許失効後の再取得
運転免許失効後6月を超え1年以内にある者については仮免許試験の一部を免除することとします(学科試験、技能試験が免除され適性試験だけで再取得できます)。
- 運転経歴証明書の交付
免許証を申請取消した場合は、旧運転免許の経歴(免許証を返納した日前5年間の運転経歴)を証明する運転経歴証明書が交付されます。
- 欠格事由の廃止
これまで一定の障害がある場合、免許が取得できなかった心身障害者について、全員が免許受験資格を持てるようにし、健常者と同様の試験に合格すれば免許が取得できることとします。
身体障害者が運転する場合は障害者マークを車に掲示することができ、一般ドライバーに幅寄せや割り込みなどの禁止を義務付けます。
幻覚症状を伴う精神病、発作による意識・運動障害 をもたらす病気をもつ場合、政令の基準に従い免許を与えない・保留・取り消し・効力の停止になることがあります。
- 第二種免許に関する規定の整備
大型第二種免許及び普通第二種免許の運転免許試験は、道路において行うものとされたほか、免許取得時に第二種免許に係る応急救護処置講習及び取得時講習の受講が義務付けられました。
また指定自動車教習所にて第二種免許の教習が受けられるようになりました。
- 運転免許証のIC化
偽造等の防止のため、免許証を2004年度をめどにIC化します。
- 身体障害者の交通の保護
身体の障害のある歩行者が道路を横断している場合、その場所に居合わせた人はその歩行者が安全に横断出来るように努めなくてはいけません。
身体の障害のある歩行者が通行している場合、車を運転している人はその通行を妨げてはいけません。
- 交通情報
交通状況予測を行う交通情報提供事業者に届け出制を導入する規定が設けられました。
- 悪質・危険な運転行為等に対する罰則の引上げ
改正項目 | 改正前 | 改正後 |
救護義務違反 (第72条第1項前段) | 3年以下の懲役又は 20万円以下の罰金 | 5年以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
飲酒(酒酔い) (第65条第1項 | 2年以下の懲役又は 10万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
酒酔い下命容認 (第75条第1項第3号) | 2年以下の懲役又は 10万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
飲酒(酒気帯び) (第65条第1項) | 3月以下の懲役又は 5万円以下の罰金 | 1年以下の懲役又は 30万円以下の罰金 |
酒気帯び下命容認 (第75条第1項第3号) | 3月以下の懲役又は 5万円以下の罰金 | 1年以下の懲役又は 30万円以下の罰金 |
過労運転(麻薬等) (第66条) | 2年以下の懲役又は 10万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
過労運転(麻薬等)下命容認 (第75条第1項第4号) | 2年以下の懲役又は 10万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
過労運転(その他) (第66条) | 6月以下の懲役又は 10万円以下の罰金 | 1年以下の懲役又は 30万円以下の罰金 |
過労運転(その他) 下命容認(第75条第1項第4号) | 6月以下の懲役又は 10万円以下の罰金 | 1年以下の懲役又は 30万円以下の罰金 |
無免許運転 (第64条) | 6月以下の懲役又は 10万円以下の罰金 | 1年以下の懲役又は 30万円以下の罰金 |
無免許運転下命容認 (第75条第1項第1号) | 6月以下の懲役又は 10万円以下の罰金 | 1年以下の懲役又は 30万円以下の罰金 |
不正手段による免許証取得 | 1年以下の懲役又は 10万円以下の罰金 | 1年以下の懲役又は 30万円以下の罰金 |
共同危険行為等 (第68条) | 6月以下の懲役又は 10万円以下の罰金 | 2年以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
【参考1】
刑法の一部改正(平成13年12月25日施行)により、下記に該当する場合は懲役刑になる場合があります。
四輪以上の車で、悪質・危険な運転をして死傷事故を起こすと懲役刑になる危険運転致死傷罪(刑法208条の2)とは、
- アルコールや薬物の影響により、運転操作を的確に行うことができない状態での運転
- 車の進行を制御することが困難な高速度や初歩的な運転技能(ブレーキ操作ができない等)を有しない状態での運転
- 人又は車の通行を妨害する目的で、危険な速度での割り込みや幅寄せなどの行為をする運転
- 危険な速度で赤信号を故意に無視した運転により、
・死亡事故を起こすと→1年以上の有期懲役(15年以下)
・負傷事故を起こすと→10年以下の懲役
【参考2】
酒気帯び運転については、その程度により次の二種類に分けられます。
@アルコールの身体保有濃度が呼気1リットル中に0.15mg以上0.25mg未満、または血液1ミリリットル中に0.3mg以上0.5mg未満の場合。
Aアルコールの身体保有濃度が呼気1リットル中に0.25mg以上、または血液1ミリリットル中に0.5mg以上の場合。
名称は同じ「酒気帯び運転」でも、@とAでは違反時の反則点数が変わります。他に違反がなく、「酒気帯び運転」だけで検挙された場合、@は6点、Aは13点の反則点数になります。酒気帯びで他の違反をした場合も酒気帯びの程度が@かAでそれぞれの反則点数が変わります。
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